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ベトナムの旧正月「テト」

ベトナムは、世界と同じように新暦の正月も迎えますが、ベトナム人にとって、旧暦の正月が1年で一番大切な行事です。

ベトナムの旧正月のことを「テト」といいます。

テトとは 

旧正月「テト」は太陰暦の基準による新年を指します。

現在は、ほとんどの国が太陽暦の基準によってカレンダーを採用していますが、文化的な面では中国や東アジアや東南アジア、イスラム諸国では太陰暦を用いています。

また、月の動きと、時差によって太陰暦には若干ずれが生じるので、旧正月と言っても国によって大晦日の日にちが違ったりします。

 

テトの準備

 

1.家の掃除

日本では年末に大掃除をするのは自宅の「煤払い」を行い、神様を迎える準備をするのが目的です。

ベトナムでは大掃除は「送故迎新」(Tống Cựu Nghênh Tân)という目的です。家族皆で集まって家を綺麗にしたり、要らないものを捨てたりすることは新年の幸運を迎えることだと思われています。

また、テト元旦にゴミを外に出したら、新年の幸運も一緒に捨ててしまうと思われるので、年末に家を掃除しておいた方がいいということです。

 

2.お墓参り

テトの前に、お墓参りをして先祖のお墓を掃除し、ご先祖をテトに招待する習慣があります。この習慣は精神生活面で重要な意味があり、過去と現在とのつながりです。

 

3.忘年会

ベトナムではお正月の前に、日本のように友達、同僚と忘年会を行いますが、それより、家族や親戚が集まって自宅で忘年会をすることが大切です。なぜかというと、テトとは「家族が集まる時期」だという意味もあります。朝から皆で料理を作ったり、家を掃除したりしています。家族や親戚との久しぶりの食事では、一年のことを振り返って、来年の予定などについて楽しく話します。

 

4.盆栽を飾る

テトでは家庭で盆栽を飾ります。北部ではピンクの桃の花が、中部と南部では黄色の枚の花が特徴です。また、北部では金柑の木もよく飾られています。それぞれの木は子孫繁栄や金運アップを意味しているのです。

テトの約1ヶ月前から、いろんな盆栽が路上で売買され、大いに盛り上がります。

 

テトのおせち料理

 

日本と同様に、テトでは「おせち料理」を食べます。北部、南部、中部ではそれぞれ地方によって料理が違いますが、下記のものが一般的で、どの家庭でも食べられています。

 

1. バン・チュン  (Bánh Chưng)・バン・テット (Bánh Tét)

ベトナムの代表的な「おせち料理」は北部の四角いバンチュンと南部の円筒状に包まれるバンテットです。中身は基本的に、どちらも豚ばら肉とすりつぶした緑豆を使いますが、地域によっては中身が全く違う場合もあるようです。サイズによっては3時間から12時間ゆっくり煮込みます。

2. ベトナムのハム 「ジョー・チャ」(Giò Chả

日本のハムのように挽いた豚肉か牛肉などから作ったものです。

 

3. 「揚げ春巻き」

揚げ春巻きは北部で「ネム・ラン」(Nem Rán)と呼び、南部で「チャ・ゾー」(Chả Giò) と呼ばれます。

カリッとおいしい 揚げ春巻きはベトナムの「おせち料理」として欠かせない一品です。

 

4.「茹でた鶏肉」 (Thịt Gà Luộc)

鶏肉は切らずに、そのままの形で茹でます。茹でた鶏肉をご先祖様にお供え物として捧げます。

お供えの儀式が一通り終わってから、食べるときに、塩胡椒につけて食べるか、野菜と混ぜるか、レモンの葉と合わせたりして、食べても美味しいです。

 

5. 卵と豚角煮(Thịt kho trứng)・煮込んだお肉の冷やしゼリー(Thịt đông)

卵と豚角煮はお正月以外でも、一般的な家庭料理ですが、ベトナムテトの「おせち料理」として欠かせない一品です。豚肉の柔らかさと卵を一緒に煮込むことで、中まで味が染み込むのがこの料理の特徴です。

北部では、卵と豚角煮より、「煮込んだお肉の冷やしゼリー」の方がよく食べられます。鶏肉や豚肉を調味料と一緒に煮込み、容器に入れて冷蔵庫で冷やしたものです。

 

ベトナムテトの過ごし方

日本のお正月の落ち着いた雰囲気とは違い、ベトナムのテトはとても賑やかなのが特徴的です。

先祖が家族と一緒にテトを楽しむために、大晦日に出迎える儀式を行います。先祖の供物台に「おせち料理」を供えます。また、3日に先祖を天国に送るために、もう一度同じような「おせち料理」を準備して供えます。

テト元旦には、家族にお年玉をあげたり、お祝いの言葉を伝えます。また、旧暦の元旦に「新年になって初めて訪ねてきた人で、その年の運勢が決まる」と言われているので、あらかじめ初めての来客者は決められます。

ベトナムでは新年の到来を花火で祝う習慣があります。毎年同時に数か所の花火会場が設けられ、道に人々が集まって、盛り上がっています。

ただし、今年はコロナの感染防止のため、テトの花火打ち上げは中止になりました。

大晦日の後に、ベトナムでは日本のように「初詣」という習慣もあります。初詣では健康や平穏、仕事、運気など様々なことを祈ります。

また、テトには親戚の家族や知り合いの家族に「挨拶まわり」の習慣があります。日本のお正月が「お休み」という意味と違い、ベトナムでは「家族と過ごす時間」と考えられます。

 

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